Third Eye Blind「Faster」考察

回顧楽曲記

Third Eye Blind「Faster」

[Verse 1] Horny and burned out now Is how it always ends for me and Chemicals wear me down In your summertime bacchanalian I saw you go faster than the morning comes She walks away like a lady It's always the fallen ones I think are always gonna save me I saw you go faster

冒頭から、言葉の置き方がかなり詩的だ

Horny and burned out

この並びだけで、曲の状態がほとんど決まっている

欲情している でも、燃え尽きている

まだ身体は何かを欲しがっているのに、心身はもう焼け焦げている

続く Chemicals wear me down もかなりいい

薬物、アルコール、脳内物質、身体の化学反応 どれにも読める、このbandを聴いている人には、直接のdrugであると素直に受け取れる

何かで気分を上げる でも、その反動で削られる

この感じは Third Eye Blind らしい

ポップなメロディの下に、依存、快楽、空虚、身体の消耗がある

summertime bacchanalian という言葉も、かなり文学的だと思う

夏 酒 パーティー 性 熱気 乱痴気

”bacchanalian”なんてたぶんネイティブでも 日常では使わないんだと思うんだが、 歌詞の韻として強烈にハマってる

”I saw you go faster than the morning comes” 曲の中では、相手が「速くなっていく」のを主人公が見ている、曲title、曲全体を象徴するような1line

”She walks away like a lady” 「淑女のように歩き去る」

ここには、相手の表面的な品のよさと、関係の中身の荒れ方の落差がある

” It's always the fallen ones I think are always gonna save me ”

この曲の中でかなり重要なのは、主人公が「堕ちた人間」に救いを期待しているところだと思う

健全な人ではない

傷のある人 壊れている人 危うい人 どこか落ちている人

そういう相手こそが、自分を救ってくれると思ってしまう

これはいうと、魔法が解けてしまうかもしれないので、言わないほうが良いのかもしれないけど、 こう書いてみると、 "Wonder Wall" へのアンサーソングのようにもみえてくる、 まあ、気のせいだ、 これは忘れて欲しい

[Chorus] Whoa, I wanna get off one time and not apologize Woah, you gotta steal the time of a life that's passing by

サビで出てくる願いは、かなり切実だ

一度でいいから、謝らずに快楽を得たい

get off

ここは性的な意味が強い 「果てる」「快感を得る」「解放される」

not apologize

かなり切実 快楽を求めるたびに、どこかで罪悪感がある 欲望があること、自分がそういう人間であること、相手を求めてしまうこと その全部に対して、いつも謝っている

だから「謝らずに一度だけ」という願いが出る

steal the time of a life that's passing by

「過ぎていく人生から時間を盗む」

この行はかなりいい

時間は普通にしていると過ぎていく だから、奪うしかない

ここには、若さ、焦り、老い、後悔、消えていく機会への恐怖がある

だが、音として聴くと疾走感あるrockなので、鬱陶しくない、 爽快な青春、過ぎ去っていく青春のような、清々しさと切なさ

[Verse 2] In bed she flexes her knees To try and abate the feeling She mouths the words "Oh please" To the poster on the ceiling I saw you go faster right in front of me She stares at him so madly She's got the nerve to say She wants to fuck that boy so badly I saw you go faster

Verse 2 のベッドの描写はかなり具体的だ 彼女がベッドにいる、 flexes her kneesで裸なのか、下着姿なのか 素足を連想させる

abate the feeling

abate は「弱める」「和らげる」

She mouths the words "Oh please" To the poster on the ceiling

そして彼女の視線の先にあるのは、人間ではなく天井のポスターだ

これがかなり映像的だ だが、ここを文字どおり採ると、意味が逃げる、

対面世界、心象風景に接続する くらいに、ふわっととらえたほうがいい、

stares at him so madly

madly は、熱烈に、狂ったように、というニュアンス ここの前後には嫉妬、皮肉もある she’s got the nerve to say

これは一般的なかなりよくある英語表現 have got the nerve to do/say = よくもまあ〜できるな = 〜するなんて図々しい = どの面下げて〜するんだ = そんなこと言う神経あるんだな という感じ

She wants to fuck that boy so badly

主人公がモテない男なのか、キモヲタなのか、 被害妄想野郎なのかわからんが、 彼女が他の男とやりたがっている、と 錯乱してくる

その視線が、自分に向いていないことも見ている

ここで I saw you go faster は、ただの観察ではなくなる

置いていかれる側の言葉になる この疎外感が、曲の中盤から強くなる

[Bridge] I was hoping you would be waiting there for me lately I was hoping you'd be waiting for me I was hoping you'd be waiting there for me lately I was hoping you would be waiting there for me I was hoping you would be waiting there for me lately But you're not the kind who would be waiting Not for anybody You're not the kind who would be waiting not for anybody Not even me Ooh, just one time Ooh, I could go off right now Whoa, I wanna get off

interludeでは、verv & derayが効いた 陶酔的な進行があり

この曲を唯一無二な斬新な曲にしているパートがこのブリッジ

仮訳 最近、君がそこで俺を待っていてくれることを期待していた 君が俺を待っていてくれると思っていた でも君は、誰かを待つような人じゃない 誰のためにも待たない 俺のためでさえ 一度だけでいい 今すぐ壊れてしまいそうだ

でもこれも、英→日 訳でのミスリーディングのワナが大きくある、 I was hoping you would be waiting there for me lately

これもあくまでpoeticに感覚的に捉える必要がある、 意味というより、 これも、心象風景をポエムしてると捉えるしかない

できれば文面を追わずに、 音の世界に身を任せたほうがかえって理解しやすい

この詩の置いていきかた、 あとにもさきにも、 古今東西の音楽、詩文 どこにもこんな詩を私はきいたことがない、

おそらく、想像するに、 まず、bandのjamでこういうbridge、 フレーズが出来てきてて、 その、まどろんだなかに、 I was hoping you'd be waiting for me あたりの詩の骨格イメージがあって、 vocal,chrus主導で、発声しながら、フレーズをリフレインしてつくったんだろうと思うが、

それにしても、センスがすごすぎる、 rapぽいのせかたなんだけど、hiphopほど、ビート中心でなく、barsのなかにフレーズを浮かべていく感覚、 I was hoping you'd be waiting for me を基本にして、 字余り、字足らずを、lately、 there, Not for anybody Not even me とかでラッピングしている、

You're not the kind who would be waiting not for anybody Not even me

君は、待っていてくれるようなタイプじゃない 誰かのためにもしないし、 俺のためでさえしない

[Chorus] Whoa, I wanna get off one time and not apologize Whoa, You gotta steal the time of a life that's passing by

verse1の後とまったく同じlyricなんだが、 brigdeを挟んでるとまったく聞こえ方違ってくることに気づくだろうか?

ここは対比になってる、 初見、新規の人が最初に聴くと、 oh,彼女と1発やりてえ、我慢できねえ!(drugをキメてえ)

考察勢がきくと、 人生が過ぎていく中で、罪悪感なしに一度だけ解放されたい

Stephan Jenkinsは「入口は下世話、奥は実存」みたいな作り方がかなり得意 言葉の音、身体性、意味の多層性を感覚でかなりわかっているタイプ

You gotta steal the time of a life that's passing by がすごい 意味としては、 「人生はどんどん過ぎていくんだから、その中から時間を無理やり奪い取らなきゃいけない」 てなるんだけど

これネイティブでも、こんな言い方ってあんましない、曲と歌詞の世界だから

日常英語にすると、たぶん Life is passing me by, so I have to take whatever time I can.

とか I feel like I'm letting my life slip away とかになるんだと思う

曲を通して思うのは、 疾走感あるpop rock調の曲だから女々しくならないんだろうなと 湿っぽくないから、何度でも聴きたくなるような中毒性がある

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