grapevine「ひかりについて」
grapevine「ひかりについて」 これも、新百合飯店で流れた曲だ。
grapevineというバンドを一言でいうなら、僕の中では90年代Jrock。 jpop、jrockって感じはしない。
当時から「暑苦しくないな」と感じてた。 メジャーシーンって、エモーションと衝動で熱くてドッカーン、というものが受ける。 それと一線を画した、日陰の世界観がずっとあった。
中学生のとき、TSUTAYAでレンタルして聴いたアルバムは「CIRCURATOR」。 シングル曲は「風待ち」。 10月の秋みたいな、めっちゃ涼しい曲だった。
当時、山田詠美のエッセイで好きなバンドとして名前が出ていたように思う。 文学青年・文学少女界隈の心境にマッチしている、確かにそうだ。
30年経った今、公平に聴いてみると、曲・演奏・構成の強度がすごいことに気づいて驚く。 派手じゃないから評価されづらかっただろうなと思う。だからこそ、今のほうが正確に聴こえる。
さて、「ひかりについて」という曲の話をしよう。
イントロのギターリフ、これも500回くらい生涯で聴いているので一発でイントロクイズ正解できる。 「ああ、きたきた」ってなる、あのgrapevineのエレキの音色だ。
でも、Aメロに歌が入る瞬間、エレキが消える。 アコギのバッキング1本とボーカルだけになる。 これだけで、前半を通してくる。
この静けさが、胸にこみ上げる。
Aメロ後半からBメロにかけて、エレキが刺し色みたいにそっと入ってくる。 サビも落ちサビも聴ける。でも正直に言うと、
Aメロに一番、雰囲気を乗せることに成功している。
音楽って時間をもった表現形式だから、尺が長いと逆に情景がぼやけるジレンマがある。 でもこのAメロは、前後の構成から切り離して、一個のverseとして完結している。
逆説的にいうなら、サビはなんでもいいかもしれない、くらいに。
ほんとうに大事なものって、なんでもない日常にあったんだよな、 とでもいわんばかりに。
是非聴いてみてほしい。